新韓銀行は、ソウル市およびソウル信用保証財団と提携し、公共デリバリーアプリ「テンギョヨ」に加盟する小規模事業者を対象に、総額200億ウォン規模の金融支援に乗り出した。
今回の共生型金融支援は、新韓銀行が拠出した16億ウォンの特別出資をもとに実施される。ソウル信用保証財団はこれを財源に、200億ウォン相当の信用保証を供与。ソウル市は年2・0%分の金利支援を通じ、小規模事業者の借入金利を引き下げる。官民が連携し、ソウル市内の飲食店経営者を対象に、実質的な支援を提供する仕組みだ。
「テンギョヨ」の競争力の源は、その公共性と収益構造にある。業界最低水準である2%の仲介手数料を設定し、従来業界で当然視されていた広告費も徴収しない。加盟店にとっては、広告費・手数料・金融コストをアプリ一つで同時に削減できる。
こうした料金体系は、米国発の人気デリバリーアプリ「ウーバーイーツ(手数料35%)」と比較しても、10分の1以下の水準だ。しかし、真に革新的といえるのは「データ金融」にある。低い手数料が表向きのメリットだとすれば、データをベースとした金融モデルは、この構造を根底から支える中核エンジンと言える。
新韓銀行は「テンギョヨ」に加盟する飲食店の注文件数や売上高といったデータを活用し、独自の信用評価システムを構築することができる。消費者や飲食店主、配達員を潜在的な顧客としてリンクさせる「データプラットフォーム」として機能する。
「テンギョヨ」は2022年1月にリリースされたアプリで、韓国語で「○○が食べたい」などという時に使用される言葉を採用。新韓金融グループの晋玉童会長が、銀行頭取在任時代に企画したプロジェクトが日の目を見た格好だ。「食事」を介し、消費者や小規模事業者(飲食店主)、配達員すべてに利得をもたらす「非金融型・公共プラットフォーム」を目指すというものだ。
(ソウル=李民晧)
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