2023年に摘発された民主労総スパイ団事件は、驚愕すべき事態だった。
彼らは北韓の工作員と接触して直接の指令を受け、軍事施設の情報などを北韓に渡していたのみならず、北韓の指令に従ったゼネストも行い、反米闘争や韓米連合訓練反対、反政府デモなどを共謀していたことが明らかになった。「今の世の中にスパイがどこにいるのか」などとうそぶいて、スパイ団事件を覆い隠そうとする勢力がある。
◇
スパイはいなくなったのではなく、スパイは、自由民主主義国家体制を転覆する勢力へと衣替えしているのだ。スパイ団事件は、ノウハウを持つ機関で長期間緻密に内査、捜査をしなければならない事案だが、その機関である国家情報院の対共捜査権が2024年1月から剥奪されている。そのことは、スパイ活動を防ぐ防御線があちこちで切断され、弱くなっているということであり、さらには、民主労総スパイ団はじめ、昌原スパイ団、清州スパイ団、済州スパイ団などの裁判が長期間放置される状況となっている。
まさに、国家転覆勢力が野放しにされている”スパイ天国”化した状況にほかならない。
容共政権の登場で、南北の緊張緩和に向けた措置として、北韓に対する心理戦に使われていた拡声器が撤去された。しかし、北韓の対南姿勢には何らの変化もない。韓国だけが心理戦や情報収集の努力を一方的に放棄している状況だ。また、拡声器を巡っては撤去と不撤去、再設置の報道さえあり、現場の状況を適宜確認しながら報道機関などは伝え続けていく必要があるだろう。
◇
スパイ団事件のみならず、李在明大統領は、下着大手のサンバンウル対北不正送金事件に関わっている疑惑が持たれているが、その裁判は中断という事態になっている。そのような事態を考えると、司法がグルになって、李在明大統領を擁護しているというふうに見える。尹錫悦前大統領に対しては敵視しているのではないかとの感じも受けるのだが、まるっきり正反対の姿勢だ。
裏を返せば、司法ジャック、つまり司法機関が国家転覆勢力の容共分子に乗っ取られているというほかないような事態だ。三権分立という民主主義の根幹が土台からゆすぶられている感じだ。法は全ての人に平等だと言われているのだが、法は選ばれた人のためにあると言いなおさなければならない事態であり、法の権威の失墜は甚だしいものだ。
◇
”スパイ天国”状況を放置し続ければ、民主主義国家の大韓民国は滅亡し、北韓に隷属し、中国やロシアの属国になってしまう日がくるかもしれない。その時、米国が助けてくれるというのは妄想というものだろう。中国は東北工程と称し、高句麗史や渤海史を中国史と見なして編纂している。そのようなことは、民族史の恥辱でなくしてなんというのか。自身の国は自身の力で守るしかない。
スパイ天国は、その力を内部分裂に導き、崩壊に至らしめるというほかない。韓ドラ時代劇の売国奴的裏切りシーンを目にすれば一目瞭然であろうし、醜悪そのものといえよう。植民地時代、多くの義士が現れて国を救った。
しかし、今、売国奴のスパイが大手を振って闊歩し、自由民主主義体制を転覆させようとしている。スパイ天国は、国家転覆活動を活性化させる以外のなにものでもない。自由民主主義擁護勢力の力を大きくそぐものだ。自由民主主義国家を守るには、スパイ天国を放置してはなるまい。(韓登) |