トランプ米大統領の関税圧力で韓国経済が揺らいでいる。国内では「米国の横暴」との批判が噴出。韓国貿易協会の調査では、対米貿易黒字が2024年の557億ドル(韓国銀行データ)に達する中、こうした要求が韓国経済の足枷になるとの懸念が広がり、ソウルでは反米デモが起こっている▼この背景には、もう一つの理由がある。韓国への防衛費負担増の要求だ。トランプ政権は、在韓米軍(約2万8500人)の駐留経費として、従来の特措協定を上回る10億ドル超の増額を主張。韓国国防予算は25年に61・25兆ウォンと過去最高を更新したが、これに上乗せされればGDP比2・6%の防衛費がさらに圧迫される▼一部、韓国メディアは「植民地化の再来」と報じ、反米感情を煽っている。トランプ大統領の「ワンストップ・ショッピング」アプローチ(貿易と防衛のセット交渉)に対し、世論調査で対米好感度が前年比15ポイント低下した▼米国の要求は、韓国経済に深刻な打撃となる。今年第2四半期の輸出は前年比2%減で、高い関税は半導体や自動車の競争力をさらに削ぐ。それでも、米国離れは非現実的だ。安全保障を無視した反発も現状を考えると難しい。在韓米軍は北核の脅威に対する抑止力の要で、離脱すれば韓国単独の防衛費として数倍を要する。韓米同盟抜きでは中国の進出に対処しがたい▼今、韓国社会は反米という感情論を超え、戦略的対応を迫られる。冷静な議論で、韓米同盟を”対等なパートナーシップ”に転換する好機と捉えるべきだ。 |