在日本大韓民国婦人会中央本部(劉代永会長)は山梨県のホテルで2~4日、「第304回婦人会全国大研修会」を開催、約200人が参加した。今回の関東地協の開催をもって、第299回から開始した今年度の全日程が終了した。
フィナーレ飾った関東地協
婦人会中央本部は2~4日、関東地協(東京・神奈川・千葉・山梨・栃木・茨城・埼玉・西東京・群馬・静岡・長野・新潟)による「第304回婦人会全国大研修会」を開催、各地から約200人の会員が山梨県の会場に集まった。
今回は〝韓日国交正常化60周年を迎え、両国の友好親善に寄与しよう〟が全体のテーマとなる。
■リアルな講演に関心
2日、開会式後の講演①では、人気プロレスラーだった故・力道山氏の夫人である田中敬子さんと、クイックはあと代表取締役の鈴木裕枝が登壇。インタビュー形式で田中さんから力道山氏との馴れ初めや、エピソードなどの思い出話が語られた。
3日の講演②では、現在は新潟県佐渡市で職員を務める、かつて北韓による拉致被害に遭った当事者である曽我ひとみさんが登壇し、婦人会会員に向け自身の体験について話した。
曽我さんは北韓による拉致から2002年に帰国、同時に拉致され、半世紀近く所在がつかめていない母・ミヨシさんへの思いなどを語った。1978年8月12日夕刻、背後から近づいた男三人組に襲われ北韓に拉致されるまでの経緯を詳細に語ると、会場からは悲憤の声が上がった。
婦人会神奈川県地方本部(盧在順会長)に所属する新定住者の李美順さんは、「曽我さんは『工作員』による拉致と話したが、実行犯は朝総連などに所属する在日コリアンが組織的に行った可能性がある。詳しい話をもっと聞きたかったが、ご本人の心情を考えれば察するにあまりある」とし、母との別離に対する悲しみに同情を寄せた。
■〝声〟指導で会場賑わう
講演③では、輪嶋東太郎・ヴォイス・ファクトリイ代表取締役が講師を務め「運動不足より怖い、感動不足~良い声で歌って心の生活習慣病を解消♬」と題して〝参加型〟の講演を行った。
輪嶋代表は、人間が発する〝声〟とは世界に一つだけしかない自身の「管楽器」であるとの持論のもと、声に関する様々な悩みの原因は、楽器として正しく使われずに発音・発声がなされている点に問題があるのだと指摘。言語学的にも母音の発音の仕方が優れている韓国語の特徴を強調し、発声時のコツなどを具体的にアドバイスした。
また輪嶋代表は、韓国出身のテノール歌手、裵宰徹(ペ・ジェチョル)さんと親交があり、裵さんの声帯手術を執刀した京都大学名誉教授の故・一色信彦氏にも面談している。映画『ザ・テノール 真実の物語』は裵さんと輪嶋代表の出会いから、その後の関係にまで焦点が当てられた作品。輪嶋代表の夫人は在日韓国人で、輪嶋代表は終始、自身の韓国愛を聴衆に語った。
通例では講演③終了後、映画鑑賞を行うが、今回は昨年10月15日に都内のホテルで行った婦人会中央本部創立75周年記念式典での映像などを編集した記念ムービー(全辰隆監督が作成)を視聴した。
動画上映後の公演は、輪嶋代表がプロデューサーを務める元力士の歌手・大至信行さんが美声を披露した。
今年度の大研修会を終えて婦人会中央本部の劉代永会長は、「講師の選定は個人的に行うだけでなく、各地方本部からの推薦などもあり、厳選している。前年好評を博した講演者に別の地協で登壇してもらうと、ほとんどの人が前年以上に会場から好評を得たという話を聞いている。インパクトを与える講演が重要だと思っている」と述べた。
 | | 3日、講演の合間に韓日両国語で「故郷の春」「ふるさと」などを合唱。会場は一体感に包まれた
〝声〟を管楽器とする輪嶋東太郎ヴォイス・ファクトリイ代表取締役が発声のコツを伝授
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