新韓銀行の創立者である故・李熙健(イ・ヒゴン)氏の志を称え創設された「第1回 李熙健賞」授賞式が19日、大阪で開催された。
本賞は、在日韓国人として韓国の経済発展に寄与し、「金融報国」の理念を体現した李熙健氏の韓日交流と社会貢献精神を継承すべく、李熙健韓日交流財団が創設した。学術・文化・経済分野において韓日両国の交流促進に尽力した人物に授与される。
初代の受賞者は、元・三洋電機会長の井植 敏(いうえ さとし) 氏。財団は「韓日の経済・文化交流に対する長年にわたる貢献と尽力が非常に顕著であった」と評価した。
技術協力と文化支援の架け橋
井植氏は、韓国の産業化黎明期である1960年代、サムスン電子との合弁事業を通じて韓国の電子産業における技術基盤の構築に寄与した。1969年に設立された「サムスン三洋電機」は、同分野への起点となり、約100名の韓国人技術者が三洋電機に派遣されるなど、両国間の技術・人材交流の模範として知られていた。この他にも韓国の三養電機、韓一電機との協力事業等により韓国電子産業の発展を支えた。
井植氏は、文化交流の分野でも功績を残した。韓日交流の歴史を再現したお祭りである「四天王寺ワッソ」が中止された際には、関連物品24億円相当が廃棄の危機に瀕すると、三洋電機の倉庫施設を無償で提供したほか、「NPO法人 大阪ワッソ文化交流協会」を設立し同祭りの再開に大きな役割を果たした。
遺族も深い感慨を表明
これらの功績により、井植氏は2010年、韓国政府より修交勲章崇禮章を受章した。
李熙健氏の次男であり、財団理事を務める五影慶則氏は、 「第1回受賞者として井植会長のような方をお迎えでき、大変光栄であり、財団の精神を継承する意味でも意義深い」と述べた。
井植氏は、「日韓交流に生涯を捧げた李熙健氏を記念する賞を受けることができ、非常に光栄に思う。今後も日韓友好の発展に尽力していきたい」と応えた。
(ソウル=李民晧)
 | 井植敏 元・三洋電機会長(中央)と五影慶則 李熙健韓日交流財団理事(右) | |