『東亜日報』紙論説委員出身の言論人、クォン・スンファル氏がフェイスブックに掲載した内容がインパクトを与えている。
「友人4人と夕食を終えてタクシーで帰る途中、交わした会話が印象的だった。2人は現職のCEO、1人は判事出身の弁護士、1人は大学教授。現職の企業CEO2人が『韓国は今や急転直下崩れつつある』と断言した。『これまでの身に余る繁栄の時代が終焉・崩壊して、過去の後進国に墜落している』というのが共通の認識だった。大韓民国を先進国にするのに決定的な貢献をした李承晩・朴正熙両大統領、特に韓国産業革命を完璧に主導し、国の枠組みを変えた朴正熙という指導者はあまりにも過分な指導者だったという認識も共感した」。
筆者は6月の大統領選挙の期間中、ソウルで耳にした一般世論の中で最も衝撃的なのは「李在明が政権を握れば2年以内に国が崩壊する」ということだった。
金文洙候補と李在明候補の対決は、正々堂々対不正腐敗の対決、清廉潔白と不正腐敗の対決、正義と不義の対決、正直と虚偽の対決などとたとえられた。金文洙候補が落選した理由は組織的な不正選挙のためだった。露骨な不正選挙で政権を詐取したでたらめな政権は「民主」と「進歩」という美名の下、大韓民国を崩壊させている。
従中売国勢力と従北主思派は、韓米同盟を脅かしている。韓半島は地政学的に大陸勢力と海洋勢力の利害が衝突する戦略的要衝地である。したがって韓国の外交安保の根本は、過去・現在・未来とも変わらず、韓米同盟が中心軸になるしかない。李在明の米中二股外交路線は、双方から無視されるだろう。今日の大韓民国は盗人猛々しい・責任回避・大衆迎合のポピュリズム・ごまかしなどで危機を迎えている。
南北の休戦状態という危うい分断状況の中、自由民主主義体制を守護しようとする勢力と、これを破壊しようとする勢力が対立している。
2020年の米国大統領選挙は中国が偽造免許証を使用、投票用紙を大量印刷・空輸し、バイデンを当選させた「不正選挙」だった。国際公正選挙監視団は、韓国の大統領選挙が100%不正選挙で、選管委は犯罪集団だと指摘した。国際公正選挙監視団が19年にボリビア大統領選挙に派遣され不正選挙を告発すると、全国的なデモが発生。モラレス大統領はメキシコに亡命、再選挙を行った前例がある。
米国は1989年、パナマに対する軍事行動で、組織犯罪と麻薬の疑いで手配中だったノリエガ独裁者を逮捕、反米政権をレジームチェンジした前例がある。現在、米国はベネズエラのマドゥロ政権交替に向け、軍事行動の開始を準備している。
石油富国のベネズエラが衰退した理由は1999年に登場したチャベス大統領が無償医療・無償住宅提供など極左志向の社会主義政策を展開したためだ。チャベスの死後、後継者マドゥロは親中反米路線で米国企業を追い出し、貨幣無制限発行で深刻な超インフレを招き経済が崩壊した。
ベネズエラが衰退した理由は経済失策だけが問題なのではない。より決定的だったのは、権力の掌握だ。
* 最高裁判事増員による司法府掌握。
* 憲法改正で大統領続投制限撤廃。
* 国民世論とマスコミの無力化。
これは立法・行政・司法のすべてを掌握した独裁国家の典型的なパターンだ。いま大韓民国は「ベネズエラと似ている」という懸念の声が高まっている。一方的なポピュリズムと権力集中は結局、国家全体の崩壊を招く恐れがあるとの教訓を肝に銘じなければならない。
一方で、ネパールの青年・市民革命の発端は不正腐敗した親中政権がワッツアップ・インスタグラム・フェイスブックなど26のSNSを禁止すると決定したために発生した。現在、韓国メディアは2030世代の裁判所前と明洞デモ行進、ならびに光化門の大規模市民デモを全く報道してない。特に、光化門に位置する『朝鮮日報』紙・『東亜日報』紙が大規模な市民デモを全く報道しない理由について、中国資本に買収され顔色をうかがっているという市民世論を裏付ける。国家は、外勢の武力よりも内部の言論統制と権力の独占によって崩壊する。ネパールの青年・市民革命がその代表的な事例だ。李在明政権はベネズエラとネパール青年・市民革命を大きな教訓にしなければならない。
高永喆(コ・ヨンチョル)
拓殖大学客員教授、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官。著書に『国家情報戦略』(佐藤優共著、講談社)、『金正恩が脱北する日』(扶桑社)など。 |