韓半島の郷歌の場合も例外はなかった。「祭亡妹歌」という郷歌の解読でも「昧(事理に疎い女人)」という意味を適用したら、見事に解読された。「事理に疎い女人を祀る歌」という意味となった。
大陸の古朝鮮から始まった郷歌制作法が、民族の移動によって韓半島に伝播され、さらに海を渡って万葉集の中で集大成となっていたのだ。
それで、筆者は「妹」という真珠(文字)の意味を「事理に疎い(=昧)」と確定した。
44番歌は、万葉集の解読において突破口として記念すべき作品となった。万葉の文字の解読は、このように一文字一文字が実に苦心惨憺の旅路だった。
どうして私を置いて行ったのか。息子が亡くなってから2年しか経たなかった。母の持統天皇は、若くして亡くなった息子に会いたくて尋ね回っていた。
涙に暮れる母親の心を知らず、誰が彼女を事理に疎いというのか。また、歌まで作って持統天皇の頻繁な行幸を引き止めようとする臣下たちの憂いも理解できる。44番歌という真珠の首飾りは、持統天皇と臣下たちの切なる思いを詠んだ歌だった。
持統天皇は草壁皇子が御日様となって昇る所へ向かっていた。太陽は草壁皇子の霊魂だった。伊勢は日が昇る所だった。
作品に出てくる三人の女人(三裳)は誰だろうか。
一人は持統天皇であることは確かだ。もう一人は草壁皇子の正妃の阿閇皇女だろう。残りの一人は、想像の領域に残しておこう。
「妹」という真珠(文字)の意味を究明したら、数多くの万葉の句節が解読され、千年間の解読内容が変わった。
これからも、間違って解読されてきた文字が無数に見つかり、解読の結果は変わるはずだ。
万葉を愛する日本列島と韓半島の人々にお勧めしたい。たとえ千年の時間がまたかかるとしても、正しい解読の道を辿らねばならない。万葉の時間では千年は長くない。
亀の甲羅のような頑固さを捨て、柔軟さを持ってほしい。新しく解読される万葉集を受け入れてほしい。
ほら、向こうで持統天皇が手招きをしている。持統の万葉が、あなたを呼んでいる。
苦心惨憺の結晶、真珠の首飾り(万葉集44番歌)
<了> |