朝総連、日朝国交正常化工作再開へ

核保有の既定事実化も狙う
日付: 2025年09月30日 09時32分

 朝鮮労働党日本支部・朝総連が平壌からの方針に従って、韓日米の連帯を揺さぶる工作に出た。日本の親北勢力を動員し9月27日、日朝国交正常化をテーマにしたシンポジウムを開いた。親北勢力と連帯し東京で200人規模の同テーマ催しを行ったのは今年2回目だ。核戦争を威嚇する金正恩の対日工作の一環だ。

二国家論に落とし穴

 都内の日本教育会館中会議室で先月27日、日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク(保坂正仁・中村元気・藤本泰成共同代表、以下「日朝全国ネット」)は「日朝ピョンヤン宣言から23年・国交正常化を求めて」と題したシンポジウムを開催、対面とオンラインで約200人が参加した。
日朝全国ネットは今年2月に発足。彼らの言にならえば、全国の朝総連に所属する在日コリアンと日本の市民団体活動家らが結束している点が組織的な強みという。3人の登壇者は以下の通り、和田春樹・東京大学名誉教授、李柄輝・朝鮮大学校教授、乗松聡子・ピース・フィロソフィー・センター代表。当日のシンポジウムのコーディネーターを藤本共同代表が務めた。
発表の要点を述べると、和田名誉教授は(1)1990年の三党共同宣言(2)日朝平壌宣言(3)2023年9月の岸田文雄首相(当時)による首脳会談呼びかけの動きから昨年2月に金与正・朝鮮労働党副部長が「会えない理由はない」とした談話発表など、これまで交渉の転機があったタイミングを活かせなかった経緯を振り返り、会場への問題提起を行った。次に李教授が「朝日をめぐる課題」と題して発表。今日の世界情勢が多極化に向かい、パクス・アメリカーナが崩壊に進んでいる状況下にあって”真の東アジアの平和を実現するために国交正常化が重要”との見方を示した。最後に乗松代表が「日朝国交正常化のためには、日本が変わらなければならない」と題し発表、ロシア・ウクライナ戦争が継続する状況下でのメディアによる報道の偏向を糾弾した。発表者同士は、北韓の核保有やロシア・ウクライナ戦争への政治的な見方など、立場を異にしている場面もあった。
当日の参加者は、主催者側の他に、大韓民国の大法院が指定する二つの反国家団体である朝総連や、その別動隊である韓統連の関係者も参加。韓国の「民主化勢力」を自任してきた韓統連が北韓の核保有を認め支持することで、自らの正体を改めて露わにした。激変する国際秩序の中、北韓の非核化を求める日本の安保などを無視、平壌への忠誠が確認された。

■「国交正常化」への壁

主催の日朝全国ネット側は、2002年9月17日に平壌を電撃訪問した日本の小泉純一郎首相(当時)が封建神政体制の首領・金正日との会談で採択された「日朝平壌宣言」の意義を強調した。
そもそも、日本の韓半島に対する政策は、1965年の日韓基本条約の第3条で「半島に存在する唯一の合法的な政府」と規定したのがその後、解釈を変え、同時にワシントンの戦略を優先せざるを得ない日本政府の立場と、「日朝平壌宣言」の内容が併存し得ない構造となったのが現実だ。
シンポジウムを通じて23年間にわたり進展のない「日朝平壌宣言」の意義を強調する日朝全国ネット側の行動は、労働党日本支部(朝総連)や、その別動隊である韓統連の構成員たちとの癒着を物語っている。

■「領土完整」は核の威嚇

金正恩の最高人民会議での演説(先月21日)に「領土完整」の言葉があった。「完整」は『朝日小辞典』などでは保全と訳されている。だが「領土完整」は、長年「赤化統一」と同じ意味で使われてきた。平壌側は、昨年の最高人民会議で「核保有」「敵対的二国家関係」「主権行使領域」を憲法化、核保有は決して放棄しないとも繰り返し宣言、先手を打っていた。
金正恩は、ウクライナ戦争を瀕死の金王朝の活路として利用している。金正恩の最後の頼みである核ミサイルを容認する主張は、韓日関係友好発展のための障壁というほかない。

先月27日、都内の会場を200人の市民団体活動家らが埋め尽くした。朝総連関係者が多く出席


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