地方民団の課題を協議

後半期全国団長・傘下団体長会議
日付: 2025年09月24日 09時04分

 在日本大韓民国民団中央本部(金利中団長)は年度後半期の地方団長・傘下団体長らとの会議を行った。地方民団ごとに異なる他の在日同胞団体との交流、日本の市民団体との関わり方などについて、方針を新たに提示すべきとの声が上がった。

一枚岩ではない「大同団結」

 都内の韓国中央会館で19日、「2025年度後半期全国地方団長・中央傘下団体長会議」を開催、関係者約100人が参席した。
国民儀礼・国歌斉唱・黙とう・綱領斉唱を行った後、三機関長あいさつで金利中団長が登壇。今年8月23日の李在明大統領の初訪日の際の言葉などを紹介。また、全国に点在する追悼碑など各地の慰霊行事への取り組みについて「胸襟を開き話し合いたい」とした。
任泰洙議長は、参政党の台頭や日本国内の自民総裁選への注視、勉強の必要性を語り、規約委員会を継続している旨などを述べた。
金春植監察委員長は「国ごとに自国ファーストを訴える現状は、誰が何と言おうと分断・差別を助長するポピュリズムにほかならない。新たなナショナリズムの台頭を民団は組織として、看過してはならない」とした。

■各地で慰霊の在り方探る

執行部が部局ごとに行った団務示達・報告の後、会場から質疑応答を受ける場面で金相英・兵庫県本部団長がはじめに発言。地域で係争中の裁判を民団として支援している旨を伝えた。続いて姜昌憲・山口県本部団長が発言、「長生炭鉱追悼行事への民団の協力の在り方として、資料集に掲げられている情報量では地元に帰り日本の市民団体へ報告するには不足である。中央は本件について関係者とどのように対応してくれたのか述べて欲しい」とすると、鄭文吉・中央事務総長が応え、「地域社会と深く関わる姜団長と協力し、対応を模索する」とした。
各地で開かれる慰霊行事を民団の主導で行うか、朝総連との関与もありながら行うのかという点で、各地方団長らは地域ごとの在り方が定着している現状・実態があることを改めて共有する結果となった。
金明弘・大阪府本部団長は、「全国の慰霊・追悼碑の現状について、地方民団と連携しながら調査する中央の部署などを開設してはどうか」と提案した。
一方で、趙武雄・群馬県本部団長は、「朝総連から慰霊祭への参加を求められるのではなく、今年は日本の左派系の市民団体から行事への参加を何度も要請された。個人的な参加ではなく、民団の看板を背負った地方団長の参加などについては中央から可否について地域ごとの事情を勘案しつつ意見してもらいたい」としている。

■「同胞団体の代表として」

李純午・宮城県本部団長は、「韓人会がある地方民団でもない地域でも、規約など組織の目的・運営の方針が把握できる文書などを提出してもらうなど、対応していかなくてはいけないのではないか」との発言があった。鄭事務総長は、「民団は在日同胞団体の代表であるので、各団体の動きを把握しておく必要はある」などと応えた。
一方で、呉永錫・東京本部団長は、「新定住者が増えている現状、東京では新宿支部と一般社団法人新宿韓国商人連合会の間で業務提携を行うなど、協力関係の在り方を模索している」などとした。
当然だが、大韓民国が反政府団体として指定している朝総連や韓統連に所属するメンバーと、ビジネスのために韓国から日本への永住を視野に入れ地域で活動している韓人会のメンバーに対し同様の扱いをすべきではない。
今回の会議では、参加者全員に対し、全44頁からなる『民団ビジョンプロジェクト(MVP)報告書』が配布された。事業の代表者である河政男・中央企画調整室長は、「これから全国の地方本部関係各所への配布を行っていく」としている。

地方民団が抱える同胞組織との交流や摩擦、様々な実態や課題について、全体で共有する場となった


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