高齢化社会が進むなか、高齢者の「クオリティ・オブ・ライフ」と社会的役割は、ますます重要な課題となっている。こうした時代の求めに応じる機関が、在日同胞の故・金慶憲(1927〜2017)会長が設立した釜山大学慶憲シルバーアカデミー(以下、 慶憲シルバー)だ。
慶憲シルバーは16日、釜山で「第44期修了式および設立25周年記念式典」を開催した。「ゴールなき学び」をモットーに、高齢者に活力を与えてきた慶憲シルバーは、地域社会の学びの拠点としての模範的なケースとして定着している。
修了生 3500人を突破
この日、新たに94名が修了し、2001年の開講以来の累計修了生は3,500人を超えた。釜山大学の崔在元学長は「若さを楽しむには成長すること。老いを楽しむには分かち合うこと」と述べ、アカデミーで培った学びと経験を社会に還元するよう促した。
慶憲シルバーの原点は、京都出身の在日韓国人1世・金慶憲氏の志にある。彼は故郷の高齢者に学びの機会を提供するため、釜山市に多額の寄付を行い、その資金で釜山大学に専用の教育課程を設置した。修了式に先立ち、釜山大学は金会長の8回忌追悼式を厳かに執り行い、設立者の理念を再確認した。
分かち合いによって広がる価値
慶憲シルバーの教育理念は、活発な社会貢献へとつながっている。2002年には総同窓会が発足し、2007年には社団法人「慶憲シニアセンター」が設立され、地域行事や介護施設での慰問公演、ボランティア活動を継続している。
2011年には社会福祉法人「慶憲福祉財団」を設立し、安定的な運営基盤を整備した。2013年からは金会長の出資金により、外国人留学生や高齢者福祉専攻の学生に奨学金を支給している。
慶憲シルバーのもう一つの柱は、韓日両国における後援会の存在だ。韓国側では李正雨・東亜地質会長を中心に、日本側では初代会長・韓昌祐氏から金建治氏に続き、現会長の呉公太氏に至るまで、志を共にした在日同胞たちによる日本後援会が、継続して「慶憲シルバー」を支援してきた。こうした伝統は、韓国において「慶憲シルバー」だけが持つ確かな柱ととなっている。
慶憲シルバーは、「人生100年時代の学びの灯台」として、高齢者に生きがいと学びを提供し、分かち合いや社会貢献のモデルとして高く評価されている。
(ソウル=李民晧)
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7月 16日、釜山で開かれた慶憲シルバーアカデミー25執念記念式典 |