金剛山面会所を解体

南北協力の象徴を完全排除
日付: 2025年07月15日 10時00分

 北韓が、南北協力の象徴である金剛山離散家族面会所の解体に着手していたことが明らかとなった。既に海金剛ホテル、アナンティゴルフ場、温泉施設など南側が建設した施設は無差別に撤去されており、面会所は唯一残っていた建物だった。こうした動きは、金正恩政権が対南関係を完全に断ち切ろうとする意思を引き続き示しているとみられる。

 米国の北韓専門メディア「38ノース」は5日(現地時間)に撮影された高解像度衛星写真の分析結果として、同面会所の屋根が完全に撤去され、内部がむき出しになっていると伝えた。

 金剛山で唯一の韓国側施設だった「離散家族面会所」までもが消滅直前の状態にある。これは、南北協力の象徴的存在を「痕跡すら残さない」とする政治的意思表示とみられる。

 面会所は2008年に完成し、南北離散家族の再会を目的とした人道交流施設として機能してきた。だが、同年の北韓軍による韓国人観光客(パク・ワンジャさん)殺害事件、10年の天安艦爆沈事件を機に、運営は事実上中断されていた。今回の措置は、北韓が「この施設の歴史的意義は消失しても構わない、離散家族の痛みよりも体制維持が重要である」との内部論理を示したものとみられる。

 金正恩政権は、すでに南北関係を「敵対的交戦国関係」と位置づけており、「統一・和解・同胞」といった概念そのものを排除している。さらに、北韓が観光開発を進めるうえで、韓国側が所有権を主張する余地をなくす狙いもあるとされる。

 施設が残っていれば、韓国政府および現代峨山による金剛山観光への投資(1兆2000億ウォン超)を根拠とした権利の主張が可能になるからだ。現代峨山は北韓当局と協定を締結したが、それも事実上、白紙と化してしまった。こうした北韓の一方的な措置により、韓国側の権益は無視され、ないものとされる形となっている。
(ソウル=李民晧)

撤去作業が行われている離散家族面会所の衛星画像

 


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